対戦車戦闘と対陣地の射撃とでは、用いられる砲弾が異なってきます。後者の場合は炸薬が大量に詰まった榴弾が用いられる関係から、目標たる敵陣地に対して大量に炸薬を送り込むためには大口径の大砲の方が好まれる訳ですが、それに対して対戦車戦闘では、戦車の装甲を撃ち抜く事が大前提であって、大口径の砲が好まれるのも、そうした大前提ありきであって、必ずしも不可欠な要素ではありません。
既に述べたようにドイツ軍では8.8センチ高射砲が対戦車戦闘で活躍したのですが、いかに専用の対戦車砲よりも口径が大きいと言え、徹甲弾でなしに戦車相手に効果があった訳ではありません。
戦車相手の場合は、装甲に対する貫徹力こそが最も重視される要素であって、もし、この条件が満たされるのであれば、小口径の砲でも充分対戦車砲として役に立ち得る訳で、それならば軽量の対戦車砲が出来上がる事になります。
そのような発想の下でドイツで開発された対戦車砲として、開発者の名前を取って、通称「ゲルリヒ砲」なる物が存在しました。
この対戦車砲は砲尾と砲口とで口径が異なっていると言う奇怪な代物で、実体としての砲弾は砲口に合わせ、装填時に生じる隙間をふさぐように、砲弾の周囲に軽金属のスカートが巻かれています。この砲弾を発射するための装薬の方も砲尾の口径に合わせてあるので、発射時に生じるエネルギーが狭い地域に集約される結果となり、砲弾に非常に速いスピードを与える事ができ、小さな砲弾に対しても高い貫徹力を持たせる事が出来るある意味では画期的な兵器と言えます。
しかし、この対戦車砲はドイツ軍の中においてすらも大してはやらなかった代物でした。なにしろ、このようなややこしい構造を持った砲身は製造で手間がかかるくせに、その一方で、発射時にかかる負担が大きいために、すぐ擦り減ってしまうので、すぐに交換が必要となってしまうのです。
そして、決定的と言えるのが、使用する砲弾が小さいために、対戦車砲以外での使い道が無きに等しい事にあります。通常の対戦車砲ならば、榴弾を使用して、他の用途にも流用できますが、ゲルリヒ砲で使用する砲弾は小さいために、仮に榴弾があっても効果は小さいだろうし、そのような役目のために高初速で発射する必要はありません。ましてや砲身命数の短い砲の下ではもったいなくてよその役目では使えないじゃないですか。
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テーマ : 歴史 - ジャンル : 政治・経済
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